コーチングの実践方法|選手が動き出す“問い”と課題の与え方

教え方・練習法

「コーチングって大事だよ」と言われることは増えました。

でも実際、現場では…

  • 練習メニューを考える…課題を分析する…やることが多くてよく分からなくなる
  • コーチ研修やDVDを見ても、目の前の選手には活かしきれない
  • そもそも、自分はコーチとして何をやっているのか?

私も不安になってしまうことがたくさんありました。

育成年代のコーチングでは、“理屈よりも現場感”が大切になることがあります。
今回は、現場で私が大切にしている「問い」「課題」「目的地の伝え方」について、比喩も交えてお話しします。


コーチングとは「目的地までの道案内」

コーチ(Coach)という言葉は、もともと「馬車」を意味します。
つまりコーチの役割は、「選手やチームを、目的地まで連れていくこと」です。

でも目的地が遠すぎたり、道が見えなかったりすると、選手は前に進めなくなってしまいます。
だからこそ、コーチが考えるべきは「今どこにいて、どこへ行くのか」をどう共有するかです。
まず、選手と一緒に「今どこにいるのか」を確認してから進みましょう。


傾聴より大事な“問い”の力

傾聴も大切なスキルです。
でも、話を聞いてもらったからといって、前に進めるわけではありません。

コーチとして大事なのは、「どんな問いを投げるか」です。

たとえば、

  • 「カレーの作り方わかる?」→「わかる/わからない」で終わり
  • 「最初に何を準備する?」→ 材料・順番・やり方…考える余地が広がる

「今の状況どうだった?」
良い問いは、選手の“現在地”を明らかにし、自分で考えるスイッチを押してくれます。


「ちょうどいい課題」をつくる

課題は、“やらせる”ものではなく、“やってみたくなる”ものでありたい。
私はよく「面白いおもちゃ」のことを考えています。

  • 触りたくなる
  • 少し頑張ればできそう
  • やったあとに「できた!」が残る

でも、単純すぎると飽きてしまう。
逆に難しすぎるとやる気がなくなる。
熱すぎても、冷たすぎてもいけない。
「ちょうどいいスープ」のように、ちょっとがんばるとクリアできる、そんな課題を用意したいんです。


パンくずを残しながら進む

『ヘンゼルとグレーテル』の物語では、パンくずを道しるべにして森を進もうとします。

コーチングも同じ。
ゴールを一気に目指すのではなく、「次のパン」を少し先に置く。
しかもそのパンは、食べられる(=達成できる)ものであること。

課題は、進むための栄養でもあります。
“自分の足で進んだ”という感覚、“できた”という達成感が次の一歩を引き出します。


成長を加速させる“エネルギー”の補給法

小さな達成が積み重なると、成長は加速していきます。
でも、私もよく失敗します。

面白いおもちゃを考えすぎて、選手に「なんでこれやるの?」と聞かれたことがあります。
そのとき、目的地の共有ができていなかったと、初めて気づきました。
どんなに良い練習でも、「なぜやるのか」が見えなければ、選手の足は止まってしまいます。
その練習を行う理由がわかっていることも、大切です。

だから私は、

  • 練習の意図を説明する
  • 次のパン(課題)をちょうどいい場所に置き、
  • それを自分で拾わせる(=気づかせる)ことで、

「進める実感」を届けようとしています。


まとめ|目的地と今をつなぎ、次のパンを置く

コーチングは、全部教えることではありません。
選手が自分の足で進んでいけるように、
「ちょうどいい問い」と「進みたくなる課題」を用意してあげること。
私はそう信じて、コーチングと向き合っています。

でも正直、いまだに迷います。
「これでいいのかな?」と不安になることもたくさんあります。
課題を考え、練習を組み、声をかけて…
それでも、チームが前に進んでいるのか分からなくなる日もあります。

けれど、コーチが不安なままだと、選手もチームも少しずつぶれてしまう。

だからこそ私は、自分の中の考えをこうして言葉にしてみました。
「この方向でいいんだ」と、そう思えるヒントになれば嬉しいです。


関連書籍

『WHYから始めよう』(サイモン・シネック)
「自分はなぜこれをやるのか?」その問いに立ち返りたいときにおすすめの一冊です。目的地を考える力を与えてくれます。

📘『モチベーション3.0』(ダニエル・ピンク)
「やらされる」から「やってみたい」へ。内発的動機づけを育てる考え方が、育成年代のコーチングに驚くほど役立ちます。

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