「うちのチーム、最近ギスギスしてて、まとまらないんです…どうしたらいいですか?」
「チームが同じ方向を向けていない気がします…」
そんな声も、現場でたくさん耳にします。
お話を聞く中で私が行ったアドバイスをまとめてみました。
今回は、雰囲気が悪くなる原因として「よくある3つのチェックポイント」と、実際に現場で使える対処法をご紹介します。
ギスギスした空気、どこにでも起こります
まず伝えたいのは「雰囲気が悪くなるのは、あなたのチームだけじゃない」ということ。
実は、NBAのようなトップチームですら、内部でぶつかることがあります。
たとえば、フィル・ジャクソンの著書『イレブン・リングス』には、シカゴ・ブルズやレイカーズのチーム内で起きた対立や衝突がリアルに描かれています。
そしてその中で、コーチがどう考え行動したかも書かれています。
チームはどこも、一枚岩ではありません。
大切なのは、問題が起きたときにどう対処するかです。
チェック①:仲間のことがわかっている?
ギスギスの背景には「恐怖」が潜んでいることが多いです。
もっと言うと、「この人が何を考えてるか分からない」という不安。
人は、理解できないものに対して防衛的になります。
だからこそ、他者理解を促す仕掛けが必要です。
✅ どう対処する?
おすすめは、『あなたのチームは、機能していますか?』に紹介されている「自分の歴史を話すワーク」。
- 少人数グループで、自分の経験や考えを話す時間をつくる
- プライベートに踏み込まず、「あだ名の由来」「スポーツを始めたきっかけ」など軽めの内容でOK
- 話を聞く人は、途中でさえぎらず、ジャッジせずに聞くだけ
▶︎急に言われてもそこまでできない…今すぐできること
- 練習前後に、今日の意気込みや自分の取り組んでいることなどを、話す時間を3分だけつくる
- 特定のグループでの活動をさせないようにマネジメントし、関係性が分断されないよう工夫する
- ランダムでペアを変えるメンバーシャッフルを行うと宣言する
チェック②:チームの目標は定まっていますか?
目的は人それぞれでいいんです。
「仲間がほしい」「楽しく動きたい」「技術を磨きたい」「勝ちたい」。
どれも素敵な動機です。
チームが目標を目指す中で、個々の選手たちの目的も達成されていくという形が理想です。
でも、「このチームはどこを目指すのか?」という目標が共有されていないと、ズレが大きくなってギスギスの元になります。
✅ どう対処する?
- いきなり結論を出す前に、「このチームでどんな時間を過ごしたいか」など、気持ちレベルから共有するのがポイント
- チームの方向性について、あらためて全員で話す場を持つ
- 「このままじゃ合わない」と感じる人がいても大丈夫です。それも含めて、コーチや仲間と話し合いながら整理していけます
▶︎急に言われてもそこまでできない…今すぐできること
- 少しずつチームの目標について、話す必要があることを伝えます。個人の動機(目的)と、目標が違うものであることも、少しずつ伝えておく。
- 「このチームはどこに向かっていると思う?」とチャンスを見つけて、ギスギスしている相手にそれぞれ聞いてみる。
チェック③:選手同士が言いたいことが言えてる?
「間違ったこと言ったらどうしよう」
「反論されたらイヤだな…」
話すこと自体を避けているように感じる。
そういったチームでは、建設的な話し合いは難しくなります。
つまり、空気そのものが対立を生んでいることもあるのです。
✅ どう対処する?
- 「話し合い」よりも、「話せる空気」を意識しましょう
- コーチも含めて、普段から「雑談」や「冗談が言える」環境をつくっておく
- 少人数での会話や1対1の声かけから始めると◎
▶︎今すぐできること:
- 今日、選手の一人と雑談してみる。肯定的な相づち(「いいね」「なるほど」「わかるよ」)を打つだけで大丈夫。コーチが話をしているのを見て、ほかの選手同士も話しやすくなります。
- 練習中に、タイムアウトと言って、1分話す時間を強制的にとります。プレーのことなら話せる選手もいます。
まとめ|チームはきっと変われる
今チームがうまくいっていなくても、大丈夫です。
一直線にチームがよくなるわけでもありません。
よくなったり悪くなったりしながら、ゆっくり押し続けると、ある時自分たちで動いていくようになります。
今は、チームが「成長する前の痛み」を経験している時期なのかもしれません。
「理解しようとすること」「話せる空気をつくること」から、チームの空気は少しずつ変わっていきます。
この記事がお役に立てれば、嬉しいです。
今回のおすすめ書籍
『イレブン・リングス』(フィル・ジャクソン)
→ トップチームでも起こる対立と、それを乗り越えたリーダーシップの記録。新品が今ないようです…
『あなたのチームは、機能していますか?』
→ チームビルディングの実践的ヒントが満載。巻末ワークも秀逸。
『自分の小さな箱から脱出する方法』
→ 「自分の見方」に縛られていた心が、人との関係を変えるきっかけに。
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