キャプテンに向いている子とは?信頼されるリーダーの特徴と育て方のヒント

リーダーシップ

はじめに

「キャプテンって、どんな子が向いてるんだろう?」

この問いは、現場にいる人なら一度は頭をよぎる悩みです。
私自身、これまで何度もキャプテン選びに悩み、正直、苦しい思いもしてきました。
一度選んだら、そう簡単には変えられない。
だからこそ、その「一回の決断」の重さを痛いほど知っています。

特に印象に残っているのは、3年生が3人しかいなかった代のキャプテン。
その子しかいない。けれど、うまく伝えられない。チームの雰囲気を引っ張るのが難しい。
練習は真面目に頑張る。でも器用じゃない。思いが空回りして、時には感情をぶつけてしまう。
正直、しんどい1年でした。

それでも彼は、自分なりに学び、成長し、最後まで「キャプテン」として踏ん張ってくれました。
彼の成長は本物だったと思います。
ただ、チームとしてそれが本当に良かったのか?という問いが、コーチとして今も私の中に残っています。

そこから私は、キャプテンについて本を読み、考え、選び方を変え、アプローチも試行錯誤し続けています。
結果的に気づいたのは、「キャプテンに向いているかどうか」を判断するには、もっとたくさんの要素を見ないといけないということです。


キャプテンに向いている子の“特徴”と共通する資質3つ

キャプテンに向いている子には、いくつかの特徴があります。
ここでは、私がこれまで指導や競技を通して出会ってきたキャプテンたちの中で、特に多くの子に共通していた資質を3つの視点で紹介します。


1. 信頼を積み重ねている

キャプテンに必要なのは、何よりも「信頼される存在であること」。
これは“特別なカリスマ性”ではなく、「日々の行動の積み重ね」で築かれていきます。
時間を守る、練習に前向きに取り組む、仲間への声かけを欠かさない。
一見地味な行動の積み重ねが、「あの子がキャプテン」という評価につながっていきます。

もちろん競技力が高いことも信頼の一因にはなりますが、それだけではキャプテンは務まりません。
むしろ、競技力に加えて「人として信頼できるかどうか」が、チームにおける影響力の源になります。
こうした姿勢こそが、キャプテンに必要な資質のひとつです。


2. 自分だけじゃない視点を持っている

キャプテンとしてチームに向き合っている子は、話し方の端々に“自分だけじゃない視点”がにじんでいます。
自分の考えを語るときも、自然と「どうしたらチームがよくなるか」「みんなとどう進むか」を含めて考えています。
これは思考のクセでもあり、日頃からチーム全体のことを意識していなければ出てきません。
自分本位になりがちな状況でも、周りのことを巻き込んで考えられる子は、自然と信頼されていきます。


3. 判断の軸がブレない

キャプテンには、常に決断と行動が求められます。
そのときに「軸」がないと、周囲はついていけません。
優れたキャプテンほど、自分の中に「このチームをこうしていきたい」という確かな軸を持っています。
それは経験や対話の中で育っていくものであり、最初から完璧である必要はありません。
大切なのは、「状況が変わっても、判断の基準がブレないこと」。

実際に私が出会った選抜チームのキャプテンは、競技力だけでなく、対話の姿勢がずば抜けていました。
「もう選抜されたんだから、早くチームになろう」そう声をかけ、
初対面の選手に対しても「どうしたい?」と自然に聞ける、その空気感がチーム全体をつなぐ芯になっていました。
決して派手な存在ではなくても、仲間を信じ、言葉や行動で支え続ける。
そうしたキャプテンが、何度もチームの危機を救う場面に出会ってきました。


キャプテン選びで見ておきたい「6つの視点」

この数年、私はキャプテンを選ぶときに、次の6つの視点を特に大切にしています。

  1. チームとキャプテンの関係性
     → すでに信頼されている?これから築いていけそう?
  2. キャプテン自身のコミュニケーション力
     → 伝えられるか?聞けるか?動かせるか?
  3. 価値観:自分よりチームを優先できるか?
     → 困難なとき、チームを背負えるか?
  4. チームの段階
     → 今は立て直し期?成熟期?何を求める段階か?
  5. コーチとの相性
     → 指導のスタイルとキャプテンの性格が噛み合うか?
  6. 成長力
     → 今より「伸びる余白」があるか?

「キャプテンの資質」を見極めるうえで、こうした“全体を見るまなざし”が欠かせないと感じています。


よくある誤解「うまい=リーダー向き」?

「競技がうまい子がキャプテンをやるべきなのでは?」という声はよく聞きます。
確かに“エースでムードメーカーでキャプテン”というような選手が実在することもあります。
でも実際には、「うまい子=リーダーシップがある」とは限りません。
むしろ、うまさゆえに自分で解決してしまい、周りに目が向かない、周りに配慮がないというケースもあります。
チーム全体を見渡し、必要なときに手を差し伸べられる力こそが、キャプテンに必要な資質です。

▶ 詳しくは:キャプテンはうまくないとダメ?|リーダーに必要な“本当の力”とは


静かな子でもキャプテンになれる?

大きな声で引っ張るタイプの子が、キャプテンに向いていると思われがちです。
でも、私はそうは思いません。
声は出せなくても、目の前のことに真摯に取り組み、仲間を支える行動ができる子もいます。
そういう子の背中は、見ている人に確実に届いています。

タイプに正解はなく、「この子らしいやり方」でリーダーシップを発揮できる環境をつくるのが、周囲の役割だと思っています。


キャプテンとリーダーの違いとは?

キャプテンは“チームの顔”として前に立つ役割ですが、それと同時に「一人ですべてを背負う必要はない」ことも知っておくべきです。

たとえば、

  • ゲーム中に指示を出すのが得意な子
  • 練習メニューを考えるのが好きな子
  • 仲間に寄り添える聞き役タイプ

こうした子たちも立派なリーダーです。
キャプテンが「全体をつなぐ司令塔」だとしたら、他のリーダーは「要所要所を支える柱」です。
キャプテンとリーダーを分けて考えることで、子どもたちが自分の役割に自信を持てるようになります。

▶ 関連記事:キャプテン=リーダー?分けて考えるチーム運営の選択肢


向いている子を“育てる”には?

最初からキャプテンに向いている子なんて、実はほとんどいません。
向いているように「見える」子も、周りの環境によって育てられている場合が多いです。
キャプテンを育てるうえで大切なのは、以下のような視点です:

  • 小さな役割から任せて、段階的に育てる
  • 「支えてくれる人がいる」という安心感を持たせる
  • 失敗しても受け入れられる雰囲気をつくる

リーダーに必要な力は「経験の中で育つ」ものです。
だからこそ、試行錯誤しながら学べる機会を用意することが、育てることにつながります。

▶ 関連記事:キャプテンはどう選ぶ?迷ったときの“見抜き方”と“育て方”のヒント


まとめ:キャプテン選びは「一回の決断」で終わらない

キャプテン選びは、本当に難しい。
でも、「この子しかいない」と思って任せた先に、思ってもいなかった成長や、逆に想定外のしんどさが待っていることもあります。

一回の決断でチームの雰囲気が大きく変わってしまうこともある。
だからこそ、選ぶことにも、関わることにも、もっと誠実でありたい。

「この子なら育つ」と信じて任せる勇気。
「どうしたらもっと伝えやすくなるか?」と考え続ける姿勢。
それが、キャプテンを“任せてよかった”と心から思える未来につながっていくのだと、私は信じています。

もっと深く学びたい方へ:おすすめの一冊

キャプテンに必要な資質は、実力やカリスマだけではありません。
それを証明してくれる本が、サム・ウォーカー著の『常勝キャプテンの法則』です。
この本を読んで、キャプテンに対する腑に落ちなかった部分が整理されました。
歴史に残るスポーツチームを勝たせたキャプテンたちの共通点として、「目立たず、支え、チームに徹底的に尽くす」姿勢が描かれています。

派手なリーダー像とは違う、地に足のついた“本当のキャプテン像”を考えるうえで、大きなヒントを与えてくれる一冊です。

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