さあ、いい練習をしよう!だらだら練習から抜け出した具体例― やる気が出ない中学生チームに、コーチができたこと ―

声かけ・関わり方

こんにちは、すずめです。
最近、こんな悩みがありました。

「練習には来ているのに、集中力がなく、だらだら過ごす選手が多い……」
「声をかけても響かず、練習にメリハリがない……」

中学生チームにありがちなこの課題。
うちのチームでも、あるときを境に「何かおかしいな」と感じるようになりました。

そこから4日間、試行錯誤して見えてきた「だらけた雰囲気から脱出する方法」を紹介します。
この4日間で私が試した方法と、選手たちがどう変わっていったかを具体的に紹介します。
中高生を指導しているコーチの方にとって、少しでもヒントになれば嬉しいです。

【1日目】違和感から始まった

いつもと同じように練習は始まりました。
でも、なぜかプレーに精細さがない。切り替えも遅い。

「これは自分の思い過ごしかな?」と思いながら、
練習内容のレベルを調整したり、声かけを変えてみたりして様子を見ました。

しかし、選手たちの集中力は戻ってきません。

コーチの葛藤①:頑張ることは必要か?

「そもそも、選手に“頑張れ”と言うのはコーチのエゴなのか?」
「最近は“無理しない”“自然体で”という風潮もあるし……」

でも、こう考え直しました。

 ・ チームで目指す目標がある以上、「頑張らなくていい」とは言えない
 ・ 一人かもしれないが、一人ひとりがチームに影響を与える大切な選手の一人
 ・ 良い雰囲気をつくるのは、努力する姿勢を持つ選手の存在が必要

つまり「頑張る選手がいる ⇒ チームが引き上げられる ⇒ 成長と目標達成につながる」
このサイクルをつくることでチーム自体が向上していくイメージを持っています。

コーチの葛藤②:原因はどこにある?

「なぜ、選手たちは頑張れないのか?」

 ・ 練習に不満?
 ・ チームに不満?
 ・ プライベートの問題?

以前の私なら、イライラしてその場で叱っていたかもしれません。
でも今は、すぐに怒るのではなく「もしかして、今ここに原因はないのかも?」と考えるようになりました。

例えば:

 ・ 友達とケンカした?
 ・ 家庭で何かあった?
 ・ ペットの体調が悪い?

憶測で動くと、見当違いの対応になることもあるからです。

【2日目】厳しい決断

この日も、雰囲気は改善されませんでした。
そこで、最も集中力を欠いていた選手に練習を中断して話を聞きました。

「うまくいかないことがあると、投げ出してしまう。何かに不満があるわけじゃない」

プレーとは関係ないところでの課題ですが、彼が自分の言葉で話せたこと自体が一歩前進です。


チーム全体にも影響が…

しかし、チーム全体もどこか遠慮がちで、誰も声をかけません。
このままでは意味のある練習ができないと判断し、練習を切り上げることにしました。

 理由①:目標に向かう練習になっていない
 理由②:問題に気づいている選手が、何もアクションを起こさない(=容認している)

短期的には痛みのある決断ですが、選手たちに考えてもらうために必要でした。

【練習後の対話】キャプテンと副キャプテンと

解散後すぐに、キャプテンと副キャプテンと対話をしました。

 ・ 「どうしていいか分からなかった」
 ・ 「自分たちで動けなかったことが悔しい」

という声もありました。

私はこう伝えました。

「失敗してもいい。動いてみなければ何も変わらない」
「暗い顔をする必要はない。今からできることをやればいい」

【3日目】前向きな動き、しかし…

キャプテンや副キャプテンが練習の雰囲気を変えようと、積極的に動いてくれていました。
でも、昨日話をしたあの選手の姿が見えません。

探してみると、すでに帰ってしまっていました。
事情は分かりませんが、彼は練習できずじまいです。

【4日目】再び対話へ

翌日、彼は練習前に私を待っていました。
アシスタントコーチの声かけがきっかけで、自分から解決のための行動を起こせました。

話を聞くと…

「頑張ろうと思っていたタイミングで、チームメイトから“今日は頑張れよ”と言われてイラッとした」

――宿題やろうとした瞬間に親から「宿題やったの?」と言われるやつですね。

「信念があっての行動なら支持する。でも、どうだった?」と聞くと、
「そういうわけではなかったです」とのこと。

周囲に与えた影響についても伝え、再び練習へ。
その日から彼は、元気に練習へ戻りました。

【まとめ】“だらだら練習”から抜け出すために

今回の体験から、あらためて実感したことがあります。

 ✅ チーム全体に響く雰囲気の変化は、一人の選手の小さな変化から始まる
 ✅ 怒るのではなく、対話を通じて原因を探ることが大切
 ✅ コミュニケーションがないと、誤解や不信感が広がりやすい

完璧な対応だったとは思いませんが、
「自分たちで目標に向かって努力する」チームに近づけた4日間でした。


あなたのチームではどうしていますか?

今回紹介したのは、あくまで私のチームでの一例です。
よりよい方法がある、うちはこうしている!など、
ご意見・ご感想があればぜひ教えてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

関連書籍

選手がやる気をなくす理由はさまざまですが、「どう関わるか」に悩んだとき、私がヒントをもらった本を紹介します。
どれも “選手と向き合う覚悟” を問い直させてくれる一冊です。
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『GRIT やり抜く力』アンジェラ・ダックワース

「やる気がない」のではなく、ただ「困っている」だけかもしれません。

この本では、成功の鍵は才能ではなく「情熱」と「粘り強さ」だと語られています。
努力の価値を再認識し、“頑張りたくなる心の土台”を育てるヒントが満載です。
指導者自身が諦めない姿勢を見せることで、選手にもその姿勢が伝わっていく――
努力の大切さを改めて実感できる本です。


『嫌われる勇気』岸見一郎・古賀史健

選手がやる気をなくしたとき、叱る?褒める?
そんなときに本当に必要なのは「信頼して見守る勇気」かもしれません。

この本では、アドラー心理学をベースに「他者の課題を引き受けない」という考え方が丁寧に語られています。
指導者がコントロールしようとするほど、選手は心を閉ざしてしまう――
そんな構造を理解することで、“支配しない指導”が見えてきます。

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