中学生バスケ、部活とクラブどっちがいい?

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黎明期のクラブ活動と縮小する部活、選び方のポイント

春は新しい環境が始まり、部活やクラブチームの選択で迷う保護者や選手が増える時期です。
また、夏の時期も、夏の大会が終わり部活動からクラブチームへの移籍が盛んになります。
バスケットボールでは、クラブチームがまだ黎明期で、安定した活動をしているところは一部に限られます。
一方で、部活動は指導者不足や働き方改革の影響で活動時間や内容が制限され、以前のようにお勧めできない部分も増えています。

では、どちらを選べばよいのでしょうか。
本記事では、現場での経験をもとに、部活とクラブチームの違いや、環境選びの判断軸、移籍を決める前に考えてほしいことをまとめます。


部活とクラブチームの違い(バスケ版)

項目部活動クラブチーム
所属組織学校(中体連)日本バスケットボール協会(JBA)
活動時間平日放課後2時間前後
土日どちらか(週5日)
平日夕方2〜3時間(2・3回)
土日試合や終日練習
指導者学校教員(専門でない場合あり)バスケ専門コーチや経験者
練習環境学校体育館を他部と共用外部施設を借りるため
活動場所が不定(地域差あり)
費用部費・用具代程度(年間数千円〜数万円)月謝8千〜15千円+遠征費・用具費(年間20〜30万円)
試合中体連大会・地域大会JBA主催大会・クラブリーグ
進路高校推薦は一部のみ
学業と両立しやすい
高校推薦・強豪校進学の可能性
学業との両立は工夫が必要

部活の現状と課題

  • 活動時間の短縮(週休2日制やテスト前活動停止など)
  • 指導者の専門性に差がある
  • 練習試合や遠征の機会が減少

メリットとしては、学業との両立がしやすく、地域や同級生とのつながりが強いことがあります。
ただし、競技力を高めたい場合には物足りなさを感じる場面もあります。


クラブチームの現状と課題

  • バスケではまだクラブ活動が黎明期で、安定した環境は地域差が大きい
  • 専門的な指導が受けられる反面、指導者やチーム文化にばらつきがある
  • 遠征・移動・費用負担が大きい

競技力向上を目的にするには魅力的な選択肢ですが、「クラブだから安心」とは限らず、環境の質をよく見極める必要があります。


移籍が簡単になったメリットとデメリット

近年は、部活からクラブ、クラブから別のクラブへの移籍がしやすくなりました。
これは、指導者と合わなかったり練習環境を選べなかった時代に比べ、選択肢が増えたという点で大きなメリットです。

一方で、チームへの帰属意識が薄くなるという面もあります。
「このチームを勝たせるために自分は何ができるか」を考える前に、「合わないなら移籍」と判断してしまう傾向は、育成年代では好ましくありません。


早すぎる注目が成長を止めることもある

ミニバスで有名になった選手が、そのままプロになるわけではありません。
U15・U18のカテゴリーでしっかり成長することが必要です。

私が見た選手の中に、ミニバス時代に注目され、周囲の期待を背負ってU15に進んだ子がいました。
「自分はもっとできるはずだ」という思いとプレッシャーで自分を追い込み、部活にもクラブにも居場所を見つけられず、最終的にバスケから離れてしまったのです。

育成年代では、一時的な注目よりも長く成長し続けられる環境を選ぶことが何より大切です。
ただ、選手自身にまだその判断ができない場合も多く見受けられます。
保護者として、子どもをアピールしたい気持ちよりも、継続した成長を望む気持ちをもってチーム選びのサポートをしてあげてください。


判断基準は「コーチの姿勢」と「チームの雰囲気」

コーチの姿勢は、そのままチームの文化を作ります。

  • 攻撃的(オフェンシブ)か守備的(ディフェンシブ)か
  • 人を大切にするのか
  • 個が大切なのか、チームが大切なのか
  • 人間的成長まで見据えているか

そして、言葉だけでなく、実際の雰囲気を確認することが大切です。
練習や試合を見て、言動と行動が一致しているかを見極めましょう。


移籍・選択を決める前に答える3つの質問

  1. 今の環境は本当に成長を止めているか?
  2. このチームの文化は、自分をどう育てるか?
  3. 数年後もこの選択を誇れるか?

この3つに「はい」と答えられれば、その選択はきっと意味のあるものになるはずです。


まとめ:長く続けられる道を選ぼう

  • バスケを続けられる年齢は長くても40歳前後まで
  • 選手でなくなったときに何が残るかも考えて環境を選ぶ
  • 「注目されること」よりも「上達すること」、そして「人として成長できること」を優先する

部活にもクラブにも、良い点と課題があります。
自分や家族の価値観に合った文化の中で、長く成長を続けられる道を選んでみてください。

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 失敗や壁にぶつかったときこそ、選手を伸ばすチャンスだと捉える視点を与えてくれます。
 早すぎる注目や結果偏重から選手を守るための、土台となる考え方を学べます。

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