キャプテンとリーダーって、同じもの?
「キャプテン=チームのリーダー」
なんとなく、そう考えていませんか?
確かに、キャプテンはチームの中心にいる存在。
まとめ役であり、代表として扱われます。
でも、「リーダーシップを発揮する選手」と「キャプテンという役職」は、本当にイコールなのでしょうか?
- 技術面では引っ張るけれど、周囲の信頼はいまいち
- 声掛けやフォローが自然にできるけど、技術はそこそこ
- プレッシャーに弱いけど、実直で人望がある
そんな選手が複数いる中で、「チームを導く」という機能をどう分担するか。
今回は、キャプテンとリーダーを“分けて考える”ことの意味と選択肢を整理してみます。
現場で起こったこと:「リーダーが多すぎてまとまらない」
私自身、過去に「キャプテンがすべてのリーダーシップを担わなくてもいい」と考え、役割を分担して運営した時期がありました。
- ゲームリーダー:試合中の判断・声出し
- ムードメーカー:練習の雰囲気づくり
- トレーニングリーダー:ウェイトトレーニングやラントレーニングをリードする
一見、うまく回りそうに思えましたが、実際はこうなりました。
「今日は誰が引っ張ってるの?」
「あの子とあの子が言ってることが違う…」
「なんかまとまりがない」
そう、それぞれが別方向に“引っ張って”しまったのです。
リーダーシップを複数人が持つことで、チームの軸がぶれ、混乱を生んでしまいました。
その経験から、今の私のスタンスはこうです。
キャプテン=リーダーとして一本化する。
他の選手には“支えるリーダーシップ”を期待する。
キャプテンは軸。その周囲に小さな支柱が立つようなイメージです。
でも、分けることにも意味がある
ただし、すべてのチームにこの方法が合うとは限りません。
- プレッシャーに弱いけれど、誠実で信頼されている子に「支え役」を任せる
- 技術的に優れた子に「ゲームキャプテン」を任せる
- 学年・性格のバランスをとるために、リーダー機能を分散させる
こうした選択肢も十分にあり得ます。
実際、私自身も「キャプテンの経験が人を育てる」と考えて、週替わりや学期交代制を取り入れたことがあります。
短い期間でも責任を背負うことで、自覚が芽生え、視野が変わっていく様子が見られました。
キャプテンとはまた違うリーダーシップの発揮の仕方を、選手たちが学ぶことができます。
要は、“誰がどの席に座るか”を明確にすることが大事なのです。
チームづくりのヒントになる書籍
チームづくりにおいて「誰をどの役割にするか」を考えるとき、ヒントになる本があります。私が考えを整理する際に思い出したのが、次の2冊です。
▶ 『MOVE YOUR BUS』(ロン・クラーク 著)
役割の分担とリーダーの数をどう設計するか?チーム運営のたとえ話として非常に参考になります。チーム内の役割分担とリーダーの設計が物語形式で描かれています。誰がどの立場で動くかを考えるヒントが満載です。
▶ 『ビジョナリー・カンパニー』(ジム・コリンズ 著)
「まずバスに誰を乗せるか。そしてどの席に座らせるか」──この有名なフレーズに象徴されるように、リーダー選びと配置の視点が学べる名著です。
チーム運営に悩んだときの道しるべになります。
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※読者のチームづくりにプラスになる、信頼できる本を選んで紹介しています。
結局、どちらが正解?
キャプテンとリーダーを分けるか、一体化するか。
これはどちらが“正解”というものではありません。
大切なのは、
- 今のチームに合う形はどちらか
- キャプテンにどんな期待を持つか
- 他の選手に、どんな関わりを促したいか
を言語化して、チーム全体に共有しておくことです。
「キャプテンだからこう」「リーダーだからこう」と、役割の見える化がされていると、チームはぐっと安定します。
まとめ:キャプテン像はチームごとに設計できる
- キャプテン=リーダーに一本化するか
- 分けて役割を明確にするか
どちらの形にもメリットがあります。
だからこそ、「うちのチームにはどんな形が合っているか?」を考え、納得して運用することが一番大切です。
育成年代では、チームの運営自体が“学びの場”です。
キャプテンのあり方を考えることは、選手たちの関わり方、責任感、協力の力を育てるきっかけにもなります。
迷ったら、「誰が一番信頼されているか」「誰が周囲を支えられるか」を手がかりに、キャプテンとリーダーをどう配置するかを考えてみてください。
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