キャプテンに技術は必要?
「キャプテンって、どうやって決めてる?」
「やっぱり、うまい選手がキャプテンやったほうがいいと思う」
現場でも、こんな声をよく聞きます。
確かに、実力がある選手がキャプテンをしているチームは多いですね。
ゲームでも、練習でも目立つし、後輩たちの見本になり、プレーでチームを引っ張れる。
だから自然と、「あの子しかいない」と任されることもあります。
でも、一つ立ち止まって考えてみてほしいのです。
“うまい”だけで、キャプテンの役割を担えるでしょうか?
よくある誤解:「実力=リーダーシップ」ではない
キャプテンというのは、単にプレーで引っ張るだけの存在ではありません。
むしろ、プレー以外の場面——チームの雰囲気や、練習への姿勢、仲間との関わり方——で真価が問われます。
こんなケースを見たことはありませんか?
- エースだけれど、仲間を全く気にしようとしない
- 試合でミスをするとプレーや態度が粗雑になり、チームの空気も重くなる
- 実力はあるのに、周囲との信頼関係が薄く孤立気味
これらは、“実力(ゲームへの影響力)はあるけど、リーダーとしては不安が残る”パターンです。
キャプテンに求められる“本当の力”
では、キャプテンに必要なのはどんな力なのでしょうか?
私は以下の要素が大切だと考えています。
✅1. 信頼されている
上手かどうかより、「〇〇が言うなら、やろう」と思われているか。
これはリーダーシップの土台です。
✅2. チーム全体を見ている
自分のことだけでなく、周囲の選手の様子にも目を配る。
声をかける、フォローに入る、それが自然にできる人です。
✅3. 感情の起伏が安定している
ミスしても顔に出さない。負けていても励ます。
そういう選手の存在は、チームに“安心感”を与えます。
✅4. コーチの言っていることを理解できる
コーチが10伝えたとして、意図をくみ取ってチームに伝えることができる。
コーチから聞いたことでも自分なりの言葉で、チームに伝えられる。
キャプテンとして、チームに対してアプローチをする機会がたくさんあります。
その時に、どんなことを伝えられるかは、チーム作りに大きく影響します。
私の経験:「実力よりも信頼で選んだキャプテン」
以前、私のチームでこんな選手がいました。
- プレーレベルはそこまで目立たず、ゲームに出られるか際どい
- 真面目で、練習や準備を率先して行う
- チームのメンバーにフラットに接することができる
- 学校の成績もそこそこよい
その選手をキャプテンに任命したとき、アシスタントコーチからも「あの子で大丈夫ですか?」という声もありました。
でも、シーズンを通じて彼がチームを支え、与えてくれたことは技術ではなく態度・継続・信頼でした。
技術的にチームを引っ張ることはできませんでしたが、“お互いにリスペクトがあり、この人が中心にいると、安心できる”という空気をつくってくれました。
逆に、技術だけでキャプテンを任せると?
もちろん、うまい選手がキャプテンを務めてうまくいくケースもあります。
ただ、その場合に起こりやすい落とし穴もあります。
- チームカルチャーが「上手い選手こそ正しい」という空気になりやすい
- 自分は上手いので、チームへの声掛けが一方的になり、「言ってることは正しいけど、響かない」状態になる
- ゲームでもチームでも中心を担わなくてはならないプレッシャーに負け、本来のパフォーマンスも下がる
キャプテンはチームを“背負う”役割でもあるので、実力者であっても精神的な準備がないまま任せると逆効果になることがあります。
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キャプテンに必要なのは「信頼」と「姿勢」
まとめます。
キャプテンに必要なのは、必ずしも“うまさ”ではありません。
それよりも大事なのは、
- 信頼されているか
- 練習などの行動でチームへのリスペクトをしめせるか
- チームに安心感を与えられるか
です。
だから、技術的にチームを引っ張るタイプと、信頼や雰囲気で支えるタイプは、別の選手であることも多いのです。
コーチやチームが「キャプテンに求める力は何か?」を明確にすると、選び方も変わってきます。
「キャプテン=エース」とは限らない。
チームの特性や選手の個性を見ながら、あなたのチームに合ったキャプテン像を探してみてください。
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