努力しているのに伸びないチーム|挑戦を習慣化するチーム文化

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努力しているのに伸びないチーム

「練習に休まず来て頑張っているのに、試合に出してやれない」
「頑張って練習しているあの選手を、上達させられていない」
「作業のようにこなしていく練習を見て、やる気ないなと思ってしまう」
「こんなに練習に時間を割いているのに結果が出ないのは、自分のせい?」


選手も努力しているし、自分も指導に力を注いでいる。
それでもチームが思うように伸びていかない…。

私自身も、そんなもどかしさを感じていた時期がありました。
そんなチームに対して
「頑張っているふりはやめよう」
「自己満足な頑張りになってない?」
そうやって批判的に指導してしまったこともあります。

けれど、その結果は――選手の萎縮。
「正解はどこにあるのか?」と答え探しに走り、腑に落ちないままの取り組み。
選手は、自分たちの頑張りが否定されているように感じたはずです。

その経験から学んだのは、次のステップである、“挑戦”に目を向けさせることが必要だということでした。


頑張りと挑戦の違いに気づく

まず必要なのは、自分たちの頑張りが“挑戦”になっているのかどうかに気づくことです。
頑張ることと挑戦することは似ていますが、大きな違いがあります。

  • 頑張り:言われたことを一生懸命こなす。昨日と同じことを今日も続ける。
  • 挑戦:昨日できなかったことに一歩踏み出す。失敗を覚悟して試してみる。

コーチの目には「真面目に取り組んでいて、サボっていない」ように見えます。
でも選手自身は、無意識のうちに安全な枠の中で止まってしまっていることがあります。

だからこそ大切なのは、「頑張り=現状維持」「挑戦=成長への一歩」と整理して伝えること。

この違いに気づけないままでは、どれだけ練習しても「量はこなしたけど質が変わらない」状態に陥ります。
逆に「これは挑戦だ」と認識できると、行動も声かけも自然と変わっていきます。

「さっきのプレーは挑戦だったね」
「今のは何に挑戦した?」

こんな言葉が、コーチと選手の間に生まれるようになります。


現場での声かけ例

では、実際に「挑戦の習慣」をどう伝えればいいのでしょうか。
私が現場で選手たちにかけている言葉を紹介します。

「頑張っていると思う。毎日練習に来て、一生懸命に走って、まじめに取り組んでる。けど、それに満足してない?
これ以上頑張れってこと?そういうのではなく、チャレンジしてるかってことが大事。」

「走る練習でも、紅白戦でも、ディフェンスの練習でも、何回かやっていたら終わる。こなせる。
でもその中で、昨日は切れなかったからランメニューで1本切ることにチャレンジする。
時間が余裕だったから絶対にラインを踏むことにチャレンジする。
昨日2本クリアできたから、今日も絶対に2本達成する。
最後のランはクリアで辞めずに、時間いっぱい行けるところまでいく。」

「紅白戦でも、昨日は黙ったままゲームをしてしまったから、声を掛け合いながらゲームできるようにチャレンジする。
目の前のプレーヤーにやられないことにチャレンジする。
チームでいま取り組んでいることを、徹底してやってみることに挑戦する。」

「そういうことをやってみよう。頑張るのではなく、チャレンジしてみよう。」

選手にとって「頑張って失敗したらダメ」と感じてしまうことはよくあります。
「頑張って、失敗したらカッコ悪い」
でも「チャレンジだったら、失敗しても仕方ない」と受け止められるようになると、前向きに取り組めます。

もちろん「仕方ない」で終わるのではなく、誰だって一回目から完璧にはできない。
失敗を重ねながら改善していくことこそが、挑戦の本当の意味です。


気づきを与えるのはコーチの役割

選手は「自分は頑張っている」と思っています。
コーチの目線からも「選手たちは頑張っている」そう見える。
だからこそ、頑張りと挑戦の違いをはっきりさせていくのです。

気づけなければ修正のしようがありません。
だからこそ、コーチがその違いを言葉にして伝える必要があります。

努力を否定するのではなく、

  • 「今のプレーは挑戦だった」
  • 「これはやっているだけだね」
  • 「今、何にチャレンジして失敗した?」

と声をかけてあげること。
その一言で、選手は次の行動を変えることができます。

コーチの視点で「挑戦かどうか」を見極めて伝えることが、停滞しているチームを一歩進ませる大きなきっかけになります。


挑戦の習慣がチームを変える

一人ひとりが挑戦を積み重ねると、チームに熱量が生まれます。
何かに一生懸命になる姿は、仲間の心を動かすからです。

挑戦を習慣にできるチームには、こんな雰囲気が生まれます。

  • 失敗を恐れずに新しいことを試せる
  • 「いいチャレンジ!」と称え合える
  • 練習が作業でなく、成長の場になる

そのエネルギーが集まったとき、チーム全体の雰囲気は一変します。
努力が「報われない頑張り」から「次につながる挑戦」へと変わり、停滞していたチームに成長の流れが生まれます。


コーチ自身の挑戦から始まる

挑戦の文化は、選手にだけ求めるものではありません。
まずコーチ自身が新しい挑戦を見せることが、チームに伝染していきます。

  • 新しい練習法を試してみる
  • 指導の言葉を変えてみる
  • 選手に役割を任せてみる

小さなことで構いません。
「コーチも挑戦している」という姿が、選手にとって最大のメッセージです。
だからこそ、まずコーチからチャレンジを始めることが、チームを変える一歩になります。


まとめ

努力しているのに伸びないチームは、頑張りが「挑戦」に変わっていないのかもしれません。

  • 頑張りと挑戦の違いに気づかせること
  • 挑戦を評価し、失敗を認める文化をつくること
  • そして、まずコーチ自身がチャレンジを見せること

この積み重ねが「挑戦の習慣」を生み出し、停滞していたチームを変えていきます。
まずコーチからチャレンジ!その結果、チームは変わります。


関連書籍

今回のテーマ「挑戦の習慣」をさらに深めて考えるなら、次の本がおすすめです。

『アオアシ』(小林有吾・小学館)
主人公・アシトは失敗や壁に何度もぶつかりながら、それでも挑戦をやめずに成長していきます。
挑戦の意味や、選手の心の動きを理解するヒントが満載。コーチ目線でも「どう選手を挑戦に導くか」を考えさせられる一冊です。

『静学スタイル』(井田勝通・カンゼン)
全国屈指の強豪・静岡学園サッカー部の指導哲学をまとめた一冊。
「自分で考え、挑戦する選手」を育てる文化を、日々の練習や関わり方の中でどう形にしているかが具体的に語られています。
今回の記事テーマと重なる部分が多く、実践の参考になる内容です。

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