結論|「若者は、とやかく口を出す人物よりも手本を示してくれる人物を必要としている」
—ジョン・ウッデン(『育てる技術』より)
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ある日の練習中、「なんでそんな言い方するんだろう?」
そう思って観察してみると、それはまさに私が日ごろ無意識に使っていた口調や態度そのものでした。
そのとき、はっきりと気づいたのです。
選手は、コーチの姿を“映している”のだと。
今回はそんな気づきから始まった、「指導者の在り方」にまつわるお話です。
その言葉遣いは、選手ではなく自分だった
選手の言葉づかいや態度が気になる。
そんな経験は、きっとどのコーチにもあると思います。
私も以前、後輩に対する物言いや、雑なふるまいに対して「言葉を選んで話そう」と注意したことがあります。
けれどその後も何と言っているのかよくよく聞いていると、それは自分が選手たちに使っていた言い回しでした。
「視野こっち!」「ちょっと待って」「さっきも言った!」――
練習中に私が無意識に使っていた言葉を、そのまま選手が使っていたのです。
あーそうか。自分がいけなかったんだと、気づけた瞬間でした。
「在り方」は、すべてを映す鏡になる
言葉だけではありません。
態度、表情、声のトーン、選手への向き合い方――
コーチが何気なくしていることは、確実に“伝わっている”のです。
しかも言葉以上に、「ふるまい」の方がよく伝わります。
だから、ウッデンの「模範を示す」「手本を示す存在」という言葉には本質があります。
指導者が「やる気を出せ」と言葉で伝えても、本人が無関心な態度なら、それが選手に移るのです。
チームの空気が少しピリついているとき。
選手同士の声かけが雑になっているとき。
私自身がそうなっていないかを見直してみると、多くの場合は“心当たり”があります。
自分が変わると、選手も変わる
それ以来、私は自分の言葉遣いや態度を整えることを意識するようになりました。
丁寧な返事を心がける
感情的な言葉は一度飲み込む
選手の話を最後まで聞く
目線を合わせて声をかける
そんな小さな変化でも、チームの雰囲気が少しずつ変わっていきました。
選手たちがよく話を聞いてくれるようになったり、返事のトーンが柔らかくなったり。
やっぱり、指導は「言うこと」より「見せること」なんだと、改めて感じました。
まとめ|「指導の成果」は、選手の姿に現れる
選手や子どもは、驚くほど大人のふるまいを見ています。
そしてその“在り方”を、まるで鏡のように映し出します。
指導が伝わらないと感じたとき、
チームの空気がうまくいかないとき、
選手の態度が気になるとき――
まずは自分の姿を映す鏡として、相手の姿を見る視点を持てると、関係性はきっと変わっていきます。
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『育てる技術』ジョン・ウッデン
「若者は、とやかく口を出す人物よりも手本を示してくれる人物を必要としている」
この本には、まさに“見せる指導”の大切さが詰まっています。
無理矢理に何かをさせるのではなく、自分がこうなってほしいと思う模範を示すことの重みを、コーチングの原点として教えてくれます。
『幸せになる勇気』岸見一郎・古賀史健
アドラー心理学に基づき、「信頼して見守る」というスタンスが語られています。
相手を変えるのではなく、自分がどう関わるかを考える姿勢は、まさに“在り方”を問う指導に通じます。
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