今日の練習、全然だめだったな。
今日の試合、あの場面でタイムアウトを取っていたら、何か変わっていたのかな。
練習後の声かけも、あまりいい反応じゃなかった。
チームがまとまっていない気がする。
何か、いい練習の案はないかな?
コーチをしていると、迷ったり、うまくいかなかったりする場面に何度も出会います。
ネットで調べて練習を真似してみても、思ったようにいかない。
本で勉強しても、「これを現場でやって失敗したらどうしよう」と考えて、動けなくなることもあります。
選手に一年目があるように、コーチにも一年目があります。
そして、選手がそうであるように、コーチとしての「初心者の時期」や「悩みの時期」を通らずに、いいコーチになっていくことはできません。
コーチとして日々過ごしていく中で、
「正解を知っていなければならない」
そんな役割を、自分に課してしまいがちです。
コーチは「正解を知っている人」ではありません
コーチは、正解を知っている人ではありません。
チームと一緒に、道を探してチャレンジし続ける人です。
なぜ、コーチは「正解」を探してしまうのか
コーチは正解を知っていて、
その知識によって成果を上げ、勝ち、選手から信用される存在でありたい。
そう考えるのは、とても自然なことです。
特に育成年代では、選手と関われる期間は長くありません。
多くの場合、わずか二年半ほどです。
その限られた時間の中で結果を出そうとすると、
遠回りをしている余裕はないように感じてしまいます。
だから、地図に描かれたルートの通りに、
できるだけ一直線で目的地に向かおうとする。
寄り道はせず、失敗もできるだけ避けたい。
その結果、
「これが正解だ」と言えるものを求めて、
技術や戦術を必死に勉強するようになります。
でも本来、コーチの勉強の目的は
「正解を手に入れること」ではありません。
違う選手、違うチーム、違う状況に出会ったとき、
その場に合わせて考え、選び直すための
引き出しを増やすことがコーチの勉強だと、私は考えています。
正解を持とうとすると、チャレンジが止まる
正解があると考えてしまうと、
コーチはだんだん慎重になります。
失敗したくない。
選手からの信頼を失いたくない。
「間違っている」と思われたくない。
その結果、
できるだけ安全な選択をするようになります。
すでに誰かがやっていて、
うまくいったとされている方法です。
でも、チームはいつも同じではありません。
前のシーズンといる選手も違います。
同じメンバーでもタイミングや、その時の雰囲気など、チームの状況は違います。
正解があると考えるほど、
「試してみる」ことが怖くなります。
新しい声かけ。
思い切った役割変更。
練習の組み立て方を変えること。
うまくいかなかったらどうしよう。
失敗だと思われたらどうしよう。
そう考えているうちに、
コーチとしてのチャレンジは少しずつ減っていきます。
そして、皮肉なことに、
チャレンジが止まった瞬間から、チームの成長も止まり始めます。
正解があると思うほど、自由が失われる
正解があると思っていると、
選手もコーチも、「それをやらなければならない」と感じてしまいます。
こう動くべき。
こう声をかけるべき。
こう練習するべき。
でも本当に大切なのは、
いろいろなアイデアを持っていて、
それを状況に応じて自由に引き出せることです。
誰かがやっていて、うまくいった方法でも、
そのまま当てはまるとは限りません。
チームのレベルが違う。
チームの成熟度が違う。
構成するメンバーも違えば、コーチの性格も違います。
そんな中で、方法だけを切り取って持ってきても、
それは「正解」にはなりません。
結局のところ、
「このチームでやってみて、どうなるのか」は、
「やってみないとわからない」と考えてみてください。
小さく試し、チャレンジを続ける
正解を探す代わりに、
コーチができることは、とてもシンプルです。
小さく試して、続けること。
そして、起きたことをよく見ることです。
「小さなチャレンジ」で十分
ここで言うチャレンジは、
大きな改革や、思い切った決断のことではありません。
たとえば、
・練習メニューを一つだけ入れ替えてみる
・声かけの言葉を一つだけ変えてみる
・練習後に、選手に一つだけ質問してみる
・役割を、ほんの少しだけ変えてみる
それくらいで、十分です。
大切なのは、
うまくいったかどうかよりも、
試してみて、何が起きたかを見ることです。
試したあとは、選手をよく見る
試したあとは、
選手の反応を、丁寧に見てみてください。
表情はどうだったか。
動きに変化はあったか。
雰囲気は変わったか。
うまくいったかどうかは、
すぐに判断できなくても構いません。
違和感や小さな変化に気づけたなら、
それは十分なフィードバックです。
チャレンジは、チーム全体のものにする
チャレンジは、
コーチ一人で抱え込むものではありません。
「今日は、ここを試してみた」
「うまくいくか分からないけど、やってみた」
そんなふうに、
チームとしてチャレンジしていることを、
言葉にして伝える。
そうすると、
選手たちも「試していいんだ」と感じられるようになります。
チームがチャレンジしなくなったとき、
成長も止まってしまいます。
完璧でなくてもいい。
正解でなくてもいい。
大切なのは、
チャレンジし続ける姿勢です。
まとめ
今日のチャレンジが、明日のチームをつくっていきます。
今日の練習や試合で、何のチャレンジをしようか。
そう考えるだけで、
今日、チームで集まることが、少し楽しみに変わってきます。
正解を持っていなくてもいい。
うまくいくか分からなくてもいい。
チームと一緒に、チャレンジし続ける。
それが、コーチの仕事です。
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