こんにちは、すずめです。
「チームがなかなか育たないんです」
「頑張ってるのに、全然成果が出なくて…」
「この関わり方、合ってるんでしょうか…」
そんな相談を受けることが増えてきました。
指導者やマネージャー、部活動のキャプテン、職場のリーダー。
立場はさまざまですが、みんな悩みながら、一生懸命チームと向き合っています。
相談を受けたときには、まずはじっくり話を聞くようにしています。
ただ話すだけでも、気持ちが整理されたり、少し軽くなったりすることもありますから。
でも中には、「どう考えてますか?」と意見を求めてくれる方もいらっしゃって、
そんなときに、私がよくするたとえ話があります。
それが、
「チーム作りやコーチングは、農業に似ている」という話です。
チーム作りは農業に似ている。すずめが感じる3つの共通点
農業とコーチング。まったく別の世界のようで、実はとても似ています。
私が感じている共通点は、次の3つです。
① 成果はすぐには出ない
農家の方が今日水やりをしても、明日には芽が出るわけではありません。
時間をかけて、土の中で根が張り、少しずつ育っていきます。
チームも同じです。
毎日向き合っているのに、なかなか変化が見えない。
でもそれは、「育っていない」のではなく、「まだ目に見えるところが伸びていない」だけかもしれません。
「種に向かって『なんで芽が出ないんだ!』とは言わない」ですよね?
私自身もそうなっていないか、日々チェックしています。
状況が整って発芽するのを待っている時期なのかもしれません。
以前、練習中に“なんで言われたとおりに動かない?”と言ってしまったことがありました。
でも、後で考えるとこれは『種に怒るようなものかもしれない』と感じました。
言われたとおりに動けるなら、練習はいらない。
やろうと思ってもできないことなんて、誰にでもある。
じゃあ、種が芽を出せるような声かけってなんだろう?
そう自分に問い直したことを、今も思い出します。
② 報われないこともある
農業では、天候不良や病気、虫害など、自分ではどうにもならないことが起きます。
あと少しで収穫!というところで、台風が来て全部倒れてしまうこともある。
チームでも同じです。
人間関係のもつれや、予期せぬトラブル、突然の退部や離脱…。
頑張ってきたことが一瞬で崩れてしまうこともあります。
私自身、他のチームの成果を見て焦ってしまい、“もっと頑張ろう”と声が強くなったことがあります。
その場では、チームは活性化して動いてくれました。
でも今振り返ると、それはせっかく出た芽を“引っぱって伸ばそうとしてしまった”ようなものだったのかもしれません。
毎日毎日、コーチからの励ましだけで頑張らせることはできません。
結局、公式戦までにチームは疲弊してしまいました。
それでも、関わりをやめるわけにはいかない。
日々の関わりは、無駄にならないと信じたい。
放っておいた作物が実をつけないのと同じように、関係を放置して育つチームはありません。
③ 成果を出すのは自分ではない
農家がいくら努力しても、実際に実をつけるのは作物自身の力です。
コーチも、選手やメンバーの代わりに成果を出すことはできません。
試合に出場することはできません。
でも、育ちやすい環境を整えることはできる。
適切な時期に、適切な関わりをすることで、作物はその力を最大限に発揮できる。
前に、“あの子の良さをもっと引き出したい”と思って、個別で練習を組んで手伝ったことがありました。
でもそれは、選手の枝に私が自分で実をつけようとしていたようなもので…。
木である選手本人が、実をつけようとしている時期でもなく、
必要性を感じていないままの指導になってしまいました。
結果として、思ったような実がなることもなく、個別の練習は自然に終わってしまいました。
「成果を出すのは自分じゃない」
そう思えるだけで、少し心が軽くなりませんか?
焦らずに信じて待つこと。それこそが“育てる”ということ
育成には「待つ力」が必要です。
「なぜ変わらないんだろう」と思ったとき、
「それでも、自分は信じている」と思い直せるかどうか。
見えないところで伸びている“根っこ”に目を向けて、
今日も水をやる、声をかける、信じる。
それが、育てるということなんだと、私は思っています。
この本を読んで励まされました|『奇跡のリンゴ』
この視点を持つうえで、支えになった一冊があります。
それが、木村秋則さんの『奇跡のリンゴ』です。
農薬を一切使わずにリンゴを育てる――
誰もが「不可能」と言った挑戦を、木村さんは10年以上かけて実現しました。
失敗が続いても、信じて待つこと。
環境を整え、自然の力、見えない力を信じること。
「育てる」ことの本質が、この本には詰まっています。
成果が見えないとき、読んでみてください。
きっと、心のどこかに火を灯してくれます。
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まとめ|チームが育たないと感じたときに、思い出してほしいこと
目に見えた成果がなくても、あなたの関わりには意味があります。
待つという言葉は簡単ですが、
何かしていないと不安になるものです。
他人の目も気になります。
「何もしてないんじゃないか」と思われていないか、不安になることもあります。
でも、あなたの関わりはちゃんと根を育てています。
それは、私も何度も実感してきたことです。
焦らず、信じて、関わり続ける。
それが、チーム作りやコーチングのいちばん大切な部分かもしれません。
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