うまい選手がいるだけでは、チームは強くならない|試合に出ている選手の振る舞いが、チームをつくる

チームビルディング チーム作り

今年は上手い選手がいたのに、全然勝てなかった。
あのチームは、毎年シーズンが進むごとに強くなっていく。
あのチームは、いつも最後の大会には強い。
うまい選手はいたのに、あのチームは全然よくなっていかなかったな。
なんであのチームは選手を集められないのに、いつも強くなっていくんだろう。

こんな疑問を、シーズンの終わりに考えたことはありませんか?

私自身、選手として勝ち続けるチームにいた経験があります。
当時は「なぜ自分たちは強くなれるのか」をそこまで意識していませんでした。
でも今、コーチとして多くのチームを見てきて、自分がいたチームには共通していたものがあります。

それは、試合に出ている選手の「振る舞い」です。

試合に出ている選手は、無意識に「お手本」になる

チームスポーツには「試合に出ている選手=正解」という無言のメッセージがあります。
それはコーチの意図とは、まったく別であっても、必ず示されています。
コーチが言うことより、選手たちはそこをよく見ているんです。

「あの先輩が出ているから、ああすればいいんだ。」
「あのプレーヤーがコーチに信頼されているから、あのスタイルが正解なんだ。」

でも、まねされているのはプレーだけではありません。
たとえば、よく試合に出ている選手が、練習前にずっとチームメイトと話していて、なかなか集中して練習に入れない。
公式戦の前でも、用事ができると練習を休む。

どちらも、「ひどい行動」とは言い切れない。
でも、他の選手たちはその姿を見て、静かに何かを学んでいます。
「試合で活躍する選手でも、そうなんだ。」
「練習、そんなにちゃんとやらなくていいんだ。」
「日常なんて、関係ないんだ。」

言葉では誰も何も言っていない。でも、チームにそういう認識が静かに広がっていく。
怖いのは、これが意図せず起きることです。その選手も、悪影響を与えようとしているわけじゃない。
コーチも気づかず試合に出し続けているだけかもしれない。
でも、結果としてチームの文化がそちらへ向いていく。

プレーのうまさは目に見えやすい。でも、姿勢の伝染は、じわじわと広がっていきます。

うまさと、チームを強くする力は、別物だった

たくさんのプレーヤーとチームを見てきました。
その中で

プレーのうまさと、チームを強くしていく力には、全く相関がない

ということに気づきました。
うまい選手がチームを強くすることもある。でも、うまくないけれどチームを強くしていく選手もいる。
逆に、うまいのにチームを弱くしてしまう選手もいる。

技術は目に見える。でも、その選手がチームに何をもたらすかは、見えにくい。
だからこそ、見えやすいものに引っ張られてしまうんです。
そしてコーチは、その目に見えにくいものをしっかり見て、チームを作る必要があります。

うまい選手を使い続けた、失敗のシーズン

あるシーズンのことです。
うまいプレーヤーを使ってシーズンの始めに勝とうとしました。序盤は勝てた。
でも、シーズン終盤になったとき、誰もうまくなっていませんでした。
そして、まったく勝てなくなりました。

なぜそうなったのか…

今うまいだけで、うまくなっていくために必要なことをやっているプレーヤーを、ないがしろにし続けたためです。

成長するために必要な習慣を持っている選手が、ベンチに座り続けた。
結果として、「うまくなるための行動をしても意味がない」というメッセージを、チーム全体に送り続けていたんです。
その時のうまい選手は、これからうまくなるための行動(練習)を熱心に行うタイプではなかった。
このことが原因です。

上手い選手も試合に出てプレーする。
そして、うまくなるための行動をしている選手も試合に出てプレーする。
そのバランスがチームを、強くしていきます。

このシーズンは、私の失敗でした。

まとめ:誰を中心に置くかが、チームの文化をつくる

うまい選手がいるのに勝てない。強くならないチームには、必ず理由があります。
その理由のひとつが、「誰を中心に置いているか」です。

この経験から、チームの作り方を見直しました。
キャプテンを含めて、チームの中心には、チームをくっつける役目が自然とできる人、成長するマインドと行動を続けていける人を置くようにしています。

プレーが特別うまくなくていい。でも、その人がいるとチームがまとまる。その人が続けているから、周りも続けられる。
誰を中心に置くかは、誰の行動を評価するか、というメッセージでもあるんです。

コーチが「誰を中心に置くか」という判断は、チームに対して「何が大切か」を伝えることでもあります。
プレーだけじゃなく、日常・練習への姿勢、成長への向き合い方。
それを体現している選手を中心に置くことで、チーム全体がそちらへ向かっていく。

難しく考えなくていい。
「この選手が中心にいると、チームはどんな文化になるだろう?」
そう問いかけながら、選手を見てみてください。
その問いが、チームをつくっていきます。

参考図書

ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則(ジム・コリンズ著)
「誰をバスに乗せるか」という概念で有名な一冊。強い組織をつくるために「誰と」やるかが、「何を」やるかより先に来るという考え方は、チームを作るコーチにも深く刺さります。

Move Your Bus(ロン・クラーク著)
チームには全力で走る人・歩く人・乗っているだけの人がいる。その違いがチーム全体にどう影響するかを、学校現場のリアルなエピソードで描いています。「振る舞いの伝染」を別の角度から理解できます。

常勝キャプテンの法則 スポーツに学ぶ最強のリーダー(サム・ウォーカー著)
世界最強チームを徹底的に調査した結果、勝敗を左右したのはスター選手ではなく「キャプテン」だったという研究書。中心に置くべき選手像が、データと事例で描かれています。誰を中心に置くかを真剣に考えたい人に。

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