中学・高校のチームでは、夏に代替わりを迎えることが多くあります。
気づけば新チームが始まっていた――そんな感覚のまま、日々の練習がスタートしていませんか?
今回は、「チームのスタートに立ち返って考えるべきこと」をテーマにお届けします。
プレーヤーはもちろん、コーチ・リーダーにこそ読んでいただきたい内容です。
1. 何のためにチームをつくるのか?
チームスポーツは、「1人ではできない」からこそ、チームを組みます。
でもそれだけでしょうか?
イソップ童話「3人のレンガ職人」の話をご存知ですか?
旅人が「何をしているんですか?」と聞くと、
1人目は「命令されたから」
2人目は「お金のために」
3人目は「後世に残る大聖堂を作るため」と答えました。
同じ作業でも、「目的」が違えば、行動の意味も、やる気もまるで変わってきます。
チームも同じです。
「何のために、このチームが存在するのか?」
それを、あいまいにしたままでは進めません。
2. メンバーを見直す|人を選べなくても、できることがある
理想は、チームの目的に合わせて人を選ぶこと。
でも現実は、学校の部活や職場など、「すでにいる人」でスタートすることがほとんどです。
だからこそ、こう問いかけてみてください。
- 今いるメンバーで、どんなチームにしたいか?
- それぞれの強みや弱みは何か?
- 誰にどんな役割を任せるべきか?
特にリーダーは重要です。
誰をリーダーに据えるかで、チームの方向は大きく変わります。
3. 目標を立てる|チームの「進むべき方向」を決める
チームの目的が明確になったら、次は目標設定です。
- 立ち上げ初期なら、小さな成功体験を積むステップ目標
- 成長途中なら、高めの挑戦目標でさらに意欲を引き出す
- まとまりきれていないなら、まずは「成熟」自体を目標にする
目標は、みんなの“向き”をそろえる力になります。
チームがバラバラの方向を向いていては、エネルギーは分散してしまいます。
4. 行動を決める|目標に向かう「日々のルール」をつくる
目標だけでは、行動は変わりません。
日々の習慣、言動、ルール、コミュニケーションのとり方など、目標に基づいた行動の方針が必要です。
- 連絡はチャット?直接?
- 決定はトップダウン?それとも全員で話し合う?
- 失敗はどう扱う?フォロー体制はある?
これらをチーム全体で考え、共有し、守っていくことが大切です。
コーチや監督の強制ではなく、みんなが自分ごととして関わることが文化をつくります。
5. チェックリスト|あなたのチームはどうですか?
- チームの目的を明確に話し合えていますか?
- 適切な人が、適切な役割を担えていますか?
- 今のチームに合った「目標」が設定できていますか?
- その目標に向かうための「行動の方針」がありますか?
- それをチーム全員が共有し、守ろうとしていますか?
6. おわりに
チームがスタートして時間がたつと、目の前の練習や大会に追われて、「土台づくり」のことを忘れがちになります。
でも、立ち止まってチームの根っこを見直す時間が、のちのチーム力を大きく変えます。
どの問いにも明確な答えを持っているチームは、まだ少ないはずです。
だからこそ、今考えることに意味があります。
関連書籍
チームのスタートで大切な「目的」「リーダー選び」「行動の方針」について、もっと深く考えたい方へ。
私自身、考え方のヒントになった本をご紹介します。
※以下のリンクはアフィリエイトを利用しています。
※実際に読んで役立ったもの、読者の皆さんにもプラスになると感じたものを選んでいます。
『あなたのチームは、機能していますか』
信頼が生まれず、目標が共有されず、結果がついてこない…。
そんな「機能しないチーム」がなぜ生まれるのか、どうすれば変えられるのかを、わかりやすく教えてくれる一冊です。
『最強キャプテンの法則』
強いチームを支えていたのは、静かに行動で引っ張る「意外なタイプ」のキャプテンたち。
リーダー選びや育て方の視点が、きっと変わります。
『WHYから始めよ!』
メンバーのやる気を引き出すには、まず「なぜやるのか?」を伝えること。
チームの原点に立ち返りたいとき、背中を押してくれる一冊です。
関連記事
▼ キャプテン選びに迷ったら
キャプテンはどう選ぶ?迷ったときの“見抜き方”と“育て方”のヒント
誰をリーダーにするかでチームは変わる。キャプテンの“見抜き方”と“育て方”を具体的に紹介します。
▼ 目標を立てるだけで終わらせないために
目標に意味を持たせるには?行動がすべてを変える理由
目標があってもチームは動かない?「意味ある行動」に変えるためのヒントをまとめました。
▼ チームづくりの方向性に悩んだら
チーム作りの分かれ道|ビジョンを貫くか、メンバーの強みを活かすか?
理想を追いかけるか、現実に合わせるか。チームの“進め方”を見直したいときに。
コメント